AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成27年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
開発目的と監査証拠の対応を考える
問題文に示された開発目的、利用状況調査、監査手続の関係を整理し、目的達成を判断するために何を確認すべきかという一つの視点に絞って考える。個別の正否や結論は決めつけない。
この問題で問われていること
システムが計画どおり作られたかだけでなく、設定された目的が実際の利用と報告の流れに結び付いているかを、監査証拠の十分性も意識して検討するという観点だけに集中する。
視点
開発目的と運用実態の対応を、調査結果の範囲や根拠の確かさも含めて整理する。
確認ポイント
- 開発目的ごとに、実際の運用状況と対応しているか確認する
- 調査結果が誰の判断に基づき、どの範囲を対象にしたものか整理する
- 監査で追加確認すべき事実が残っていないか検討する
正解と解説を見る
解説
経営情報システムの稼働後に、企画書で定めた四つの開発目的が達成されているかを監査する問題です。調査結果の不足、子会社報告の遅延による経営リスク、調査報告書の客観性、事業本部の対応を問うています。
問題の全体像
A社は、事業本部ごとに異なっていた管理指標や分析方法を統一し、企業グループ全体の経営管理レベルを向上させるため、経営情報システムを導入しました。システムには、連結経営管理指標の定型レポートと、原因分析などを行うフリー分析の機能があります。監査では、稼働後の利用状況を開発目的と照合し、調査結果の不足や報告遅延のリスク、調査報告書を監査証拠として利用する際の客観性、事業本部が実施すべき対応を見極めます。
設問1
図1の調査結果①と②は、会議の早期化、連結経営管理指標の利用、決算数値との整合性に対応しています。しかし、開発目的(4)である、各事業本部及び各子会社がそれぞれの特性に応じた独自の分析を行えることについての調査結果がありません。したがって、追加すべき内容は、この独自分析の実施可否に関する調査結果です。50字以内では、開発目的(4)との対応が明確になる粒度で書きます。
設問2
図1の③では、子会社に月次報告の登録遅延や報告内容の不十分さがあります。子会社の重要な情報が経営会議資料に適切に反映されなければ、グループ全体の状況を正しく把握できず、誤った経営判断につながります。公式解答例は、この情報反映の不備と誤った経営判断のリスクを結び付けています。
設問3
調査報告書は、プロジェクトリーダのT氏とサブリーダが作成したものです。つまり、調査対象であるシステムの開発プロジェクト当事者が自ら調査しており、結果を客観的に評価する立場から独立していません。そのため、調査が正しく行われた可能性があっても、監査証拠として全面的に依拠するには客観性の面で問題がある、と説明します。
設問4①
登録遅延や報告内容の不足の原因が事業本部にあると考え、事業本部が子会社に対して月次報告の説明や作業依頼、研修を行う立場である点に着目します。確認事項は、各子会社に対する月次報告の研修を適切な時期に実施していることです。
設問4②
システムには利用者別のアクセスログが記録され、各事業本部は所管する子会社の利用状況を分析できます。したがって、登録遅延や報告不足を把握・改善するため、アクセスログを利用して各子会社の利用状況を分析していることを確認します。
学習のポイント
開発目的と監査手続を対応付け、証拠の客観性と経営上の影響まで説明する力を身につける。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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